詩『スウパ・スウパパル・スパパルル座にさよなら』

空中言語の一群は歯が輪唱上でくねる道を独りずつ歩く
振動に反応した沈黙の臓器が束で遥かに閃光放つ
(「遠さ」の発生) 
空気中を貫通する概念が血だらけになりながら光の方を向く
生首を持ち歩いていると その歯が次々に歌い出す
我も我もと 光の前で機能するよと
踊り以前の動作や 飛び飛びの言語で
明るい文 紫色の遠征 永遠旅行者の始まりの一歩目

非・時空の天地を叩き潰した脳裏には 道を求めて探索者がさまよっている 
いつでも聞こえる歌や血痕をたどって
兵器を失った胴体に人格はない(人格の仮想的な幽霊には報復せざるをえない)
ぽつぽつと 生まれた直後の記憶が降ってくる 現代に座礁したイメージの群だ
生首の断面を見せるな! 破滅を欲する湯気たてて 
流星なら壊れてしまったよ(流星機械なら文に吸い込まれていったよ)
スウパ・スウパパル・スパパルル座にさよなら

異物内部の砕け散った星雲では 去った者たちを慈悲でつつみこむ 
今や際限無く縮小化した青い旅人は伝聞の砕け散った恐るべき霧を直視せよ
霧の一滴一滴が認識を超えて赤く それぞれが自我を持って稼働する
戦うための殺人は許されるか? 歯は輪唱上に整列する
いつか本になるために 孫に絶対的な火は無いのだと伝えるために
もはやそれは火とは呼ばれないのだ それは一個の恒星だ
明るい文 確かな存在を無数に秘めた浮遊する球体を恐れよ

ヒューマン・ジャンクから電話が来た 「貪欲に冷たい棘を食らえ」
アレンジされた拉致(拉致の拉致)は 魔の合力が通ずる土地を持たない
墳墓の亀裂から脱出した盗賊は即座に捕縛されてしまった
生首なんか持ち歩いてるから歌の聴き方を忘れるのだ
だから私は一人ずつ歩けと言ったんだ 忠告は宇宙高熱源の彼方に去った
水のイメージが大事だった 「漂流物」にたどり着くためには
光の前では自動的に機能せよ(自動的に意志することだ)

骨の砕けた指でなぞる 鼻歌と共に そう 鼻歌と共に
白鳥座の気まぐれにまかせて こんにちは
濁音と姉妹になったわけではないが 永遠とはいかない旅行者を迎えよう
観光客のつたない言語でも 生首を恐れる感情は伝わる
翻訳とはそういうものでなくては 踊り以前の動作や飛び飛びの言語で伝われ 
我が白色遠征光

どんな絶光もやがて黒竜の大地に射しこむ その時にこそ
ぴたりと猛禽類は撤退するだろう 
生首パレードを催してから 機能することを確かめてから
眼の前にある 手の届くところにある物体全てから歯上の歌が聞こえる
(「近さ」の発生)