詩『カラフルな顔をして箱に詰められた 音 の鳴る陣営には 喜ぶあなたの顔があった のを思い出す 昼間 犬の寝言ヲ 只で聴く のでした』

まるでこの僕の喜びの全てであるかのような顔をして、箱に詰められたひとりの 音 が 鳴った のでした、そうして、僕はその箱を開けるときのことを思い浮かべ、しきりに、そのことを思い浮かべることで、僕のなかで火起こしする、ことができないひとりの 男 が あった のでした、ですがその男、両手に意識の破片のようなものを持ち合わせており、どこからか心臓のようなそれを持ち込んで、持ち込むことは禁じられて もちろん いたのですが、男はなぜかそれを持ち込んでいて、僕はどうしてだかその男にだけは持ち込みを許可してしまう 夢さながらに そうしてしまう のでした、持ち込まれたそれを男が打ち合わせて カチカチ と 音 が 鳴った のでした、火は まだ起きない、それでいて僕はそれがある原理に基づいて行われている実証実験であるということを誰かに指摘 顔も思い出せないが 物知りな ひとでした されたのでした、だから、それはいつかふとした瞬間には大いに火を生み出してしまうに違いなく、しかしながら 僕はその場に居合わせないだろうという予感があります、嬉しい予感が暗い海の濁った黒として不可視の波をおへその上あたりまでよこすのでした、誰がそれをよこすのでしょうか、喜びの全てのようにして、どこを それは おすので しょうか、こうするのでしょうか、脳のこことかあちらとかを同時に 同時にといいつつ すごく速く 順序よく 最短ルートで 走ってくるのです、喜びというのはいつもそういうものです、箱に詰められていて、それはお隣からやってきはじめる、さあ、今にも走ってくるのが手に取るようにわかる、色とりどりに手とり足とり カラフルな 知識の源泉が まとまった状態で あとすこしで僕のもとへくる、喜びもどきの脆く崩れた城塞跡の そのあとに来るもの 腐敗と そのあとに来るもの 荒廃と 退廃に 古き良きものの顔をして、箱に詰められてひとりでいるかのようにして、僕は喜びそのものの顔をした僕の 幽かな 昼間の 犬の寝言のようにして、その音を聴く のでした。