詩『空気の玉の細部』

振り子のような運命に手を伸ばす 古い歌の胸騒ぎをおさえて 
飛び上がるふたり、四本足の 接近する惑星に降り注ぐ千のレーザー 

視線が命を花に変えるように 視線が光に感情を含ませるように 
精神を焼き尽くす乱数 戦いは続く、しかし意味不明に けがもせずに

真逆の命を撚り合わせる力 仮称の傾き 魔性の繋がり 腕の重なり 
かすれるような しぼりだされるような 私は私 角度を持ったものです
胡乱で確かなもの いずれ救いとなる重なり 我は神なり、それ以降の存在

計画性の無い光と闇 聖なる引用 ここに反射するために生まれてきたもの
疑いなく分かる愛の 愛への手触り 暮らしも心もあるはずがないのに

ずっと昔からのように不可視の歌で 孤独は手首を軸に回転する 
踊りは術 すべてを伝える そのままで存在を この世のテーブルに置く 
かすれた構造の図に なぐり書きされた生者の軌道 異形の座標

揺れているのはこの世界だったもの ひっかくような不動の不確かさが 
音としてそこに現れる 無の空間に発生する 苦痛の浮かび方 歪みの呼び方 
再会は作戦通りに 弾んでしまって 揃わない 神の書く線が 震えている

金色に裏付けされた美しさ 裸の無い人間 実在した約束は実在するベッドに伴う 
旅行中の夫婦のような歩幅の違い 人間以外の意志 飛び上がる精神のかけら

未踏の重なり 君が君の裏側に見えない時、それは本物になる 
友達で終わるもの 何度でも 百年後も運命に触れ続けているはずのもの 
歩みを襲うカメラワークで 君の感情だと思ったものがそのまま私の感情だと分かる

遠くの逆光に包まれて 終わりへ向かう 笑い返し 裏返し 
そして、君は 君が点滅するのを目撃しない 全て僕がかわりに見ていた

それは世界の秘密のように偶然で 雪のように法則で すべての夢想を制すもの
冷たい炎 過去は別の過去と接触する 失われることのない 永遠に胡乱で確かな実在