詩『距離のオーディション』

変容する線路の終わりを見るために再び設置された自動地獄扉の前に立ち、唯一の認証虹彩で開く私のその場その場のクロスワードを、空虚の浅瀬を隙間なく埋め立てていく黄色い魂の軌道、距離の概念を超えて愛・眼の前にある不毛の腕はこまごまと焼けていく、抵抗する人生のねじれてしまった後ろから、意図や狙いを探す顕微鏡が覗いている、ピントが一瞬一瞬の中で逃げていく、降り注ぐ雨を数えるような人外の視点で破裂する言語がグローブを抜けて脳を貫く、この理性論の穴で大好きな火花を炸裂させよう、灰・不安の隣で、やさしく冷やされていく、無温の演奏を聴くような触れ合いは細く折れそうな指先で頂点を見る、

感情や衝動にモザイクをかけて無視の共鳴を待つ、意味もなく光への標識もなく、我ら海水だけで胎いっぱいの共胴体、墜落の対として死以外の上昇をかき集めて裸、生きたオブジェクトを解放する、風の届かない遠くでも良し、歩行を蘇生、後光を統制、誕生への行為と誕生とのコントラストを凝視する哲学を待つ、全てが意味を失った闇の展覧会が涙に埋もれてしまう、私だけが現実を私だけの後悔で満たせる大砲の口だ、死にかけのプログラムを修理する、囁くことのできる隣を畏れ、思考を構成、威光を創生、

ありがちなことでも信じていい、余地と余地を渡って、未知の未知をくぐって、情報量は安全な零を身に纏う、何もなくても最高な日々で結び、全てを許し、それとは別に全てを壊す、いつかほどよい季節になったら謝りもしよう、未来より過去のほうがずっと速くて、君の未来の訪れを知ることはついに無かった、人の真似をしてもいいですか?初めて挨拶の仕方を覚えるように消え方を探しに原理の森で倒れても、新しく繰り返された歴史が鎧となって君を閉じ込めても、とにかく何かが起きる、最低な現実は再生する、現在に隠された無数の矢印を食べて、ヤマアラシの表面を内側に飼う、内臓方向に伸びる苦痛や悪意、

狂気を焚いて、その煙が示す空虚を身体全体で味わう、有り得ぬ輪廻の苦しみの、種を拾ってどこへ?正気を裂いて、その血が示すメッセージを読み取る、君だったかもしれない屍を背負って、どの辞典へ流し込む?新しい関係に新しい言葉を飢(植)える、なんでも落として捨てて失くしていい、それがいつか思い出を対岸へと渡す舟になるなら、

空間無い点も無いこの距離のオーディションに、ありとあらゆる距離が選ばれに来る、刹那の自傷で花を焼き、尽くして黙認、剣で承認、テトテナドナク、メトメナドナク、君が君の中にゆくだけの、旅のラクダと通話する、通話以上を証す世界の良心、存在の味方・他なる救済・異なる切断、限界暗雲兄弟よお!真実映す鏡などなく、在ったとしても無い明日選ぶ、同じ肯定を繰り返す共聖の真理、いったいいつ誰が私と約束したのだろう、分からないことを分からないと言ってみたらどうだい、「無意味だ。」