詩『私は海にいる』

無数の道具が私の目の前に常に見えていて
私は必要に応じてそれらを使ったり使わなかったりすることができる
そういう不自由の中に身を置いているとして

それはある時はあたかも道具が概念上の鎖(あるいは縄)となって
脳に触れるか触れまいか悩んでいるようで可愛らしくもあり
またある時には鎖を全て断ち切ってしまって
本当の自由(何をやっても規律に反しないカオス)に浸りたくなる

しかし結局そうした無制限の自由は巨人の指の上であり
暗黒が身を隠す狭苦しいジメジメとした井戸の中であることに気づく
私は《ここに戻らなければ真の自由は無い》という不自由の鎖に囚われている

鎖は自由の海上へ私を引っ張り揚げる戦艦の鎖だ
「君はまた戦艦に乗れって言うねでも
いつまでもこんなところにいられないんだよ僕はつらくてつらくて」
ここは兵器に私を吸収するウミヘビのウミヘビの胃の中の胃の中だ
私はまた海へ潜り戻り嘘の魚になるがその体力はいずれ尽きてしまって
再び鎖を求めて彷徨う(さまよ、おおう)
鎖のほうも私を探して海にいるだろうかなあいるといいなあ

私は海にいる海にいるしかない
海の住人であり海の奴隷だから