詩『なびいたことのない髪がゆっくりとなびきの苦しみを知る』

千の音の上を女の肩をなぞるように渡る一匹の金色の
右(ウ)半身の骨が透けている
私はいつの間にか
通りがかった画家が背負った樹(上からも下からも切られている)の上で
喜んでいます

波になってここに来る友人たちよ
私は
喜んでいます

なびいたことのない髪がゆっくりとなびきの苦しみを知る

終末走る 
東に白く膨張したじいさんへ逆走する
人生の銀色のくびれや量産型の雑音が
私の顔を撫でている
しずくは
月から跳んで来る

電球肉鍋泡泡泡耳に穴だらけ
空白
穴はクリスタルを齧る 舵ガンガンに湿る

椅子のまま走れ夜の円環の中を塔の光に照らされながら

転がりてくる
金塊あなた においと望み 棒の王 全部ぜんぶ天才の所業で 

ちぎれたあなたの充血した眼球の
欠片をコトコトと置いて
中合わせに
発射する

友人たちよ
私を許せ 神経が運動するように混ぜとき

凍らせておい
格闘術がおい 無数の面となって砕けるよ

友人たちよ
喜べ
私は喜んでいます