詩『サーモグラフィック・コスモ・ヴォイス』

神秘の中枢は予測済みの言葉のリストへと分裂してしまった
まだ言葉を知らなかった頃の作家が辞書を手にした時よりもその腐蝕は高速だ
私は肉の全体が立ち上がる靄となって押し上げる旋回する意識のみを肯定する

人の内なる幻想があらゆる夢の破れた直腸からの血飛沫を被っている
その血の温度分布から獲得されたサーモグラフィック・コスモ・ヴォイスを聴くがいい

一瞬で認識される原形質的世界に這い回る青い静脈 屈折した神樹の写真 
靄のエネルギーが写真の本質を純粋に取り出していることを認めよう
私は頭蓋骨に取り付けられた舵を分解して群衆に与える 肉への愛や幻への愛ゆえに

言葉は世界と繋がっていたためにあらゆる卑しい混沌によって穢された
しかし穢れの中で生まれることもできるだろう 元々それぞれの岬からの灯火だ
灯火は創造の光をもたらすがそれ以外の闇を知らずにいる
闇は忘却されたわけではなく観念の罪を着せられたわけでもない
ただそこで待っているのだ 瞳の色を真似た水面に黄金の短剣が突き刺さるのを

凝視に耐えうる境界線と境界線の間にあるものが肉の途切れ途切れの音楽だ
制御された光で顔を照らし出す つまり鏡の登場が強制される 
自画像の他に調停者である真実がその孔を見せることはない

人生は嘲笑のなかで血飛沫となれ その形而上的陰影を夢と呼ぶ
世界という光はない 光という文明もない 混沌か自画像か そのどちらかだ

(世界は崩壊しつつある家庭でチラチラと点滅する光によってかろうじて生きながらているが
それは文明が作り出した幻覚であり各々の自己の内部にのみその顔を見せる子猫であり
真実に憧れて鏡の前で永遠に突っ立っている愚者であり天才にしか分解できない抽象画であり
関節を無限に持ってはまたゼロ状態からやり直される地獄の刑罰を受ける肉塊である)