詩『真空状態のあの世 この世の温度』

裸で走って竜の 翼踏むリズムで 呆然と永遠の夢を見る
嘴が戯れに突く霧 はっ 晴れたんだ テクスチャの戸惑い 
わざとらしい元素の踊りの反復 破壊と再生 押し流されたかたち 
炎と雷から産まれた青に 僕はついていくよ 空より好きな熱 
死にかけでも走るよ 真実に眠るよ はるばるここに戻るよ
ひび割れた地面に記憶の父を蘇らせながら 暗黒 暗黒

不詳の物の名を聞く あれは何だと思う 融合された動物
と思った形に向かいスクロールされる生命 を作る道具
もうすぐ来るカオスに ただ生きているだけで辿り着く

高熱の心臓が世界を覆う煙を立てて 綿菓子の実体と呼ぶ
次に焼くもの 未来の敵は 別に嫌いではなかった そばにいただけの
潰れた花を夢見る 顔の真ん中に咲いた ゼロの憎しみを土として 
夢見ることは暴力だった 感情にかたちを与えることは 
暴力よりも美しいものを求めて 命令通りの動きをする雨が降る

寂しくて寂しくて誰も寄せ付けなかった静かな水面が醜く崩れ 
虫の足跡や水滴が 同心円状の罪をまき散らす お前もお前も同じものに
世界と世界の境界を見て 君と私の声の高さが違ってきて 和音の青
空気の概念に至る 光の不自由 角度の違い 年齢の違い
水生のことしか知らない卵 扉を知り 道を知り 街を知り
空気の苦しみ 真空状態のあの世 この世の温度が色づいて見える