詩『知らんぷり(犬の視線で)しなさい』

閉じた自己を遠くから見たくて、人は戦士になるという。
セイレーンが倒されたと知ったあの日、写真だけが正しい言語になった。
幼児がたった一人で輪っかになって、始祖のない吸血鬼になる。

「俺は街と呼吸することにしたよ。」

静かな日の脳は、野生の象のように拡がる。
何もかもが朝を目指し、実験的に発生している。
変革の足と。変革の語と。変革の火と。変革の雨と。変革の塔と。

声の主はたとえば逆回転しててもいいと思う。
そのプロセスが愛だから。
どうやってもほどけない栄養の制度。
愛の制度。
流線型の輪廻を吐き出した砂漠の曲線は、やがて激しい直線として成熟する。

傷を待たずとも、彼方に傷があることを知っている君。
冴えたセーラー服をまんべんない脳裏で見る。
目はいつまでも現在を超えないでいる。
怖いのかもしれない。
逆らえない悶々とした追い打ちでもくらえ。

空を切りたいとオゾンが言う。
真空は黙った。
星は笑った。
島で陰らない骨の跡は普通。
よちよち歩きの造形。

畑の口から凄みを感じるのは、膀胱のおかげ。
思春期に呼ばれているみたいだ。
これは砂漠の恋愛なのです。

「2種類の同居人とは、ぬいぐるみとぬいぐるみの値段のことだった。」

妹の太ももの後ろが、歪んだ部屋の音楽のイメージと重なった。
煙突は寂しくなったが、知らない人に塞がれた。
汚れたぬいぐるみ、汚れをおとしたぬいぐるみ、汚れなかったぬいぐるみ。

猿の集会を見てもそのまま運転を続ける運転手が何人いた?
乱獲された悲しみが、ついに車にはねられて顔を失った。
(強制的な皿洗いにおける指圧的な後頭部の痛みを想像せよ。)

揃えられたあらゆる魔性の流れが、最低限、明日まで君の眠りを守るだろう。
「胃袋だけが本当の過去を持っている。」
夜な夜な僕は団結する。
記憶の戦艦になる。
「知らんぷり(犬の視線で)しなさい。」
石と石の間の石が笑う。
土弾む土弾む土弾む土弾む土弾む星で。

ある日、手記の羨望を味覚に変えてもおいしくならないと知った。
侮蔑を見送るためのカラーコンタクト。
そのバリエーションには微笑が無い。