詩『本当の音、骨と脳も。』

ふふ、もうどこにも行けない光だ、僕の中の誰もが丁寧に諦めていて、僕の中の誰か!僕に命令してくださいと僕は言う、 千億の石を並べる妄想も光、小鳥、小鳥と鳴る音がもたらす光、難しく考えなくてもいいって光の嘘をつき、ここでしか鳴らない音、音は、音になる既に、どこにもない物語、 それは幻の代用品、幻と幻覚の違い、どこにもない物が有り、ドコニモイケナイヒカリ、浮き上がる光と冷たい風に乗りこなされて、僕は数々の窓を塞いでまわる、その内側にいる子供が割る前に君を割ってあげよう、君が割られる前に窓を塞いでまわろう、 子供が性別を失う夜に、風は全ての性欲を持ち去った、触れれば爆発するような心臓に、ただ一個の尺度を植え付けて何を待っているのか、あさってに向かって転がる卵を追いかけて、僕は子供の卵を割ってまわる、 何の役にも立たない坂道を登ったり降りたりして、その道が徐々に細くなるのに合わせて僕自身の骨と脳も、細く、長く、美しく、硬く、無知になっていく、緩やかな死に乗り、物語のはじまりを失い、始めの千を苦しくしている、 巣が餌に、無が夢になる、八方虚脱、時間の進む方向を断つ、一本の柱を垂直に飛び越える猿、二本目には知らない人が垂直に立つ、 小人の立つ地面が大きくねじれパンのようにねじれて、テーブルの上の缶の中に人を発見する、ここでセーブしておく、逃げも隠れもしない、いいよ、僕は寝る、人は干からびていました、 僕は言葉を失う、僕は親友の恋人の名前を物語の題名につける、僕はチェックポイントを一つ残らず通過するふりをする、僕は洞穴にいますから誰か助けてくださいと言っていますからそれが目印ですから、 桃色の煙、桃色の空、桃色の足跡をたどり、僕に愛に天に声に蝶に花束を送ってください、それが定説ですから、世界ですから、 昨日と同じ風景を見た、さっきと同じ風景を見た、今と同じ風景を見た、何を見ているのか分からない、でも数分後と同じ風景を見ている、明日と同じ風景を見ている、何を見ているのか分からなければ裁けない、 光が苦しそうに車に押しつぶされていて、ドコニモイケナイヒカリ、と思う、もう戻れない、もう戻れないと鳴る音はどこにも行けない光、 幻でも見るか、見た、幻とか知るか、見たことあるか覚えてもいない、 願望のキッズ、欲望の地図、僕の逃亡は名前を持たない、動かないし、性別も無い、風に取られてしまったものを取り返す気も無い、それも取られたのだろうか、それでも壊れないでいられるだろうか、 僕自身の本当の音、心、まごころ、無心になっていくよ、牛になっていくよ、どこへいく、どこへいく骨、脳も。