詩『鉄格子(トゥルーエンド)』

広々とした情報の余白に入り込んだ物質の重みは実在仮装している
だから私は関節に防具を備えるように 君の頭を鉄格子(トゥルーエンド)で囲う
鉄格子(トゥルーエンド)はその隙間からは指令を そして鉄棒自体の温度を伝える

冷たい風が隙間から吹き込むとしても それはどうしようもなく真実の風だ 
君はうつぶせに寝て身体の影だけを見ながら 風が通り過ぎるのを待てばいい
守護者の一人が善意で全ての風に名前をつけているが
その名前を覚えるのはやめておいたほうがいいだろう
それこそが君から鉄格子(トゥルーエンド)を奪おうとする合鍵となるからだ

風は鍵のかかった部屋とその外部との通路で生じる
通路ではあらゆる加工が行われており君はそのことを知らない
君は外部のことやその通路のことなど「どうでもいい」と思っているからだ
だが誰もその善悪を問うことなどできるはずもない
誰もが君であり君はその誰でもありうるのだから
(当然君は私であり私は君でありうる)

どこに行っても名前を呼ぶ声が聴こえてくる
守護者の善意はむしろ鋭利な銀の短剣となって差し込まれている
鉄格子の隙間や情報と情報のはざまに あるいは精神構造物に

どこにでも侵入する空気の他に私は何を信じたらいいのだろう
宇宙の暗闇から来る聖なる銀色か それとも星々の自慢げな回転か

私の与えた鉄格子(トゥルーエンド)の製造元を訪ねてみるのは正しく聞こえる
そこでは一人の少女が応対し君の名前を聞くがそこで君は思い出す
名前の意味とは何かということと 君に名前が無いということを
いや確かに名前はあるのだが それは真実の名前ではないということなのだ
それは風に教えられた伝聞の名前であり 水が作り出した暗号だった

今や君は急いで部屋に戻るしかない 鍵のかかった部屋に 鍵たちと共に
鍵なら手に持っているし 部屋はいつでも君を受け入れる 適切な温度で
では部屋こそが信用に値するのか?部屋の錯覚こそが
(だが君は落ち着けるのか?死産した赤ん坊の溢れるこの部屋の内部で)

ああ 私はどの月光に向かえばいい?午前2時にもなって
どの月光が私を犯罪者でも不吉の余韻でもない存在として受け入れてくれる?
そう問うこと自体が実在仮装者の狙いの内だろうか

情報はどこまでいけば光そのものの真実となるのか
君は光自体の絶望と絶叫のなかでのみ君の名前を知るだろう