詩『君は知らない街の詩歌の棚に全ての危うさを取り残してきたようだった。』

私はいま前に進んでいるようで浮いているけれど、どんなに痛みを忘れてみても動きは残る、動きは悪魔・痛みはカルマだ、方法の王は膝と膝が織りなす回転あるいは振り子だ、カオス野よ脳に広く陣取り私を連れ出してキャンプしろ、烈しく刺さる排気ガスの先端に手をあててブルーと唱えよ、それは血液なのさ、ブルー状態の私の手に触れる空気熱く、暑く一日が終わり。

天井のキュビズムが人間を象るとして、選んだ靴が夜を操る、虫の屍体で埋まった最後のドアの前に足踏み入れる、音も虫よ、蝿の動きで群衆を通り抜けて、群衆核をピンポイントで見つけて貫くその気持ちを知りたい、広く狭く風は騒々しく、次々に視線の台風になっていく、向き合うことは私たちのテーブルに台風を作ることだ、不気味な手を重ね休み休みで声を首筋に投げていく、投げたものは熱されて風に回されてわた飴になる、台風飴どこまでも巨大で、情報の詰まった巨大で、足指はサンダルの中で今日も軽い涼しいなんも無い、この心は冬の海の凪さ、今ここではあらゆる典型も許そう。

どんな地面で眠ろうが結局は体だ、左右というより前後に前後というより善悪に心が動く、心この思粘(しねん)は辺り一帯のビルに張り付いている、ぺりぺりと乾いて日の光を待ち受けている、七時の不良に一時の迷い、いつも通路を塞ぐもの、夜のガラスに写る私、追いかけるもうひとり、まだら模様の崩れた単色、灰色の私でもオーケー、君は知らない街の詩歌の棚に全ての危うさを取り残してきたようだった。