詩『頚椎や、泥酔、と言いたい』

円錐か、円錐ではない、かもしれなかった、
泥のように冷えて固まったわたしの図形は、
厳密にはどこまでもその類似品でしかなく、
[どうしたん、輪投げしようか]、と声をかけられたかった、
完璧ではないにしても、その始まりでありたかった、
失敗からできた器は焼けることなく急な大雨にさらわれてしまった、
あたかも取外し可能な胴体のように独り歩きするのもたのしかった、
螺旋を描きながらその実たんなる直線だと知った時のきみの顔は笑えた、
隠れてやり過ごすための深夜の駅よりも寒く静かな部屋で待っていると、
四方の壁から貫いた、虹色の槍、秘法の殺意、が、反射して消えない、
頚椎や、泥酔、と言いたい、もしくは、円錐か、円錐ではないもの、に、
朝露に濡れた子供の落とし物のような、美しさを感じ、
わたしの猫背はいっそう強く猫感を増していく、いつか猫になることもなく、
もう似たものはないので、固めてしまおうとして、転んで、しまった、
どこまでもつづくかと思われた横転で、
その回転力で吹き飛ぶ全ての体液に、べつにわたしではないのにと、
それで、そのまま去ってしまったものを、誰が追いかけるのか、
人づてもなく旅する者を、旅すると言いながら、
その実たんなる徘徊だと、君が知るなら、
そのときにはわたしも笑えるだろうか、
鋼鉄でできた野原に、足裏を壊しながら走り続ける、
わたしの終わりを見たかい、終わり続けるわたしを、