詩『不覚の痛み』

どうだい どうしても動きたいか だめなんだ 
どうして もう 抗菌なんだ 
ぞうきんのほうが美しいよ おまえよりも 
よう まだ目は動くか 
どうしたらいい 
 
お嬢様の死骸 高等な思想の害 
 
買い物に行ってそのまま帰ってこないみたいだね
ぼくは搭乗者のいない常に偽の結果を返す乗り物の動きですをしています
幼体はまだしも きょうじゅう怠惰でとおした
 
ぼくはめのさきにぼくの幽霊を送り出す 
ぼくはてのさきにぼくの幽霊を送り出す 
そうしていると歪んだ君をずっと見ていられると喜ぶ
 
狂ったぞうきん 生きている すさんだ心 洗われている 
先祖代々浄土解体してきたアンチ英雄の骨たち 帰ってくる 
臨んで海へと突破する 馬車から降りて くるように 旗をふる
まだこどもだったころのちぎれるような腕の動きを思い出していつもそうしていたい
 
ちぎれてしまったと泣いた君をずっと見ていられると喜ぶ 
幽霊のものなら不滅だから終わらない痛みだよおしえようか
 
幽霊の腕で旗をふる方法を 建物だと思ったから強度計算する 
狂女様の未来 計算貴公 そのまま止まらないで震えていて うれしいから 
それは 深く停止すること 不覚の痛みが移動する 
 
回れ 回れ 回れ 
 
ぼくの幽霊の動きを見たか 抗菌ではない 商品でもない ぞうきんの動きだ
ぼくを絞れるか 萎れるか ぼくは誰にも仕留められない
 
どうだい こうやって停まってみろ いいでしょう
よう もう動かないくらい停まってみせてやれ 
 
「深くにも 深くにも 近う寄れ」
そう言ってお嬢様は死んだ けっきょく最後まで 幽霊はあらわれなかった 
ぼくの幽霊は乗り物の幽霊だった 真偽不確かな車輪を動かす音が喉で鳴った
 
ぴりゅっ ぴりゅぴりゅぴりゅ
ぴりゅぴりゅぴりゅぴりゅ
ぴぴっ ぴりゅぴりゅぴりゅぴっ