詩『威容の柱』

冷徹の 重くて軽い 自由の柵に手を添えて
「この下が海だ」 あぶくの断面(複雑な熱の混合色)
管と肉で膨らむ 力の風船 パンとは割れず
ただ抜けていく 魂の管を 風が 音たてて閉める ドア 

一つ目巨人との戦いで踏み潰された手足を 深い森の 真の影が支配する 
陶器のようなピカピカの樹へ 憧れるままに憑依する 同じものになろうとする 
宮殿と瓦礫の子 暗黒の奥に隠す 間違いだらけの本の間違い探し

低空飛行 馬の高度 その先は英雄 道具箱の左腕 
砂埃と血の泥 駆け抜ける皆殺しの旅路
生なる脱出の才能 惨殺のドラマ アンチクライムサスペンス
人質の父よ 告白せよ 長生きせよ 成功し 仕えよ

君の 灰色の髪が陽光に溶け 再会の暖炉を思わせる
ああ、またここで ここで待てば あなたが来ると
そう言って別れた 敵軍のように足早に 二度とは会えない

威容の柱 二本足 天まで延ばした 塔の見えざる刻印 
賢者の角度で光ったものが 親しげに微笑んでいる あとで泣くために 
夜の布地で厚く覆われた後ろ姿 殺意のこもった静かな後頭部
高速で切り替わる朝と夜 兵器の王 冷たく そして優しい