詩『紙片』

穴空きソファーの中で眠る
スピリチュアルに関する中古の文庫
読まれることなく読むこともなく
ひとりで暗いソファの中にひとりで
ひとりで綿に包まれてひとりで虫に食われている

かわいそうに

これが忘れられた本の
末路
無限の可能性があって
悲しくも無意味

どうしたらいいですか
虫に食われてほそぼそと欠片の感覚が広がる
あっちにひとつぶこっちにふたつぶ欠片があり
それはさっき虫の中で眠った
そして
崩れ
風に乗って

フラフラヘラヘラ

そこまでいって
気分は自由
あらゆるものの隙間から地球の手のひらに乗る
自由
そうやってなんにでもなっていく計画である

ボロボロがうらやましいか
豊かだけど?
ありえない景色くっきり見えてる
花の種のような使命も無く
泥水未満

何かにならなくてもいいからここは気楽だ
ずっと気楽な空気の子供  
果てしないものにおしやられて
誰の想像も及ばない場所にいる

無数の手足手足
アシアシテッテッ
アシテッテと
ひとりで