詩『箱の中の王を選ぶ』

私はまず「箱」に近づく。
 
上から見てどれほど球に近いかあるいはどれほど血に近いかという分析をしている。外気を遮断する栄養秘めた壁の終わりはどこにあるのだろうか。それもテクスチャーの一つに数えていいのだろうか。
 
四つに割れた赤い大地を引き裂いた鉄の壁は私の肉すら削ぎ落とす。どの種も私には不要な硬さと不要な感覚の装備をしていて近づき難い。相似形の船として転生させるのはいいが恨まれる可能性を考えたことはあるのか?
 
分裂体は次々に刺されるが敵が重みに耐えられなくなるまで時間の問題だ。
 
(分岐一)本質的でない動物への変身は原型球体への冒涜と思う人もいるだろう。
(分岐二)粉砕されたものの涙を呑み込むことができるのは老人と赤子だけだ。
 
精神に繋ぎ直された爽快な香りに名前をつけたくなった時にまた会おう。