詩『アストロノーツ〈嘲笑〉』

捕鯨船サイレントでアストロノーツ〈嘲笑〉が自決した
残忍なアンドロイドに自由と忠誠の悲劇を求めてはならない

血を欲するスマートな消滅弾のために私の名前を授けよう
あのアンドロイドが人工物でなくなるときに
鳳凰が求めた通りの美しき血が噴出する 腐肉の〈嘲笑〉は止まらない

それは常に聖書の永遠を生き続ける片足の個体として現れる
暴君は彼に兜=レングードを装着することで冷静沈着な探偵とする
「一等航海士が炎に包まれて死んでしまった事件を解決せよ」 
その場所を示す 海図の名はノーピン 皆ノーピンへ駆け落ちだ
お遊びじゃなく 即身仏の絵を携えて 悲劇を観に行こう

自動操縦で婚礼の夜を迎えてしまった人類 ドロドロの稚魚の群れ
永久に死ねない惑星の歌姫が歌う 毒性植物限度額・水爆 
ある時間軸で無心で考えた最終エピソード兵器『超生命艦アーベルカイン』
発進だ! 結婚なんて知ったことか! 
ここは堕落した権力の 濁った水の町だ 探偵だけが秘かに移動できる

暗く難解なエデンで白鯨の治療を行う 強制的な口角は正常に戻し
港のエネルギー回路で稼働可能なものは棺桶に入れて 死者は優遇し
スーパーバイザーの死体は高額で引き取られ 大切に宝物庫にしまわれた
いらっしゃい!人工的な花嫁 君は今すぐ死ぬよ!〈嘲笑〉の内側で

白鯨骨の望郷・恋愛救命の星で 
初恋の女性の義足を燃やす悲しき探偵を慰めよう
今なお〈嘲笑〉は続いている とっくに悲劇は終わったはずなのに