詩『フリー皮膚』

一定間隔で現れる独白 夢遊病者が本を読む声だ
その震えた声は 動かざるものではありえなかった
紫色の静かなテーブルが来る 彗星と
背教者の放った毒や 黄金を手探りするような火柱立て
発光字園 「漢字には見えないかもしれない」

深海で出会った楕円に触れて あらゆる階段が重なっていることを知る
連鎖する滲みの階段だ 手紙でできたコップを
乗せる形の凹みがあるはずだ
暗闇の中の異常な知性を 雨と名付ける
では絶滅までの働きを予想せよ
犀の論理首銃がこめかみに触れた
ファントムを指揮する小部屋の 靄のような境壁
噴火口に届く

回る 「犬に聞いてみたらどうだ」
それで、犬に聞いてみることにしたんだ
裏側のそれは彫像ではなく 中央集権
肉 どこにも無く
テーブルの上の花飾りは 予測の構造を持っていた
あの時埋没した鉄柱がまた来るよ

溝よ 形容しがたい感覚
失墜する 空洞から錯覚として来る
霊気 一生懸命見ておけ

「返却のお知らせ」「返却のお知らせ城」「返却のお知らせ暴力」
血まみれになった獣線の隙間から 孤独が
神経十字架を揺らしている