詩『前夜』

冬の紀行の決闘前夜
慈悲の仮説を携えて
他界の天馬が訪れる

連中は俺を殺しに来たのだ
波のうねる
高音域に乗じて

愚者の公理の裏側の
鋭い棘の束を
無音の夜に
奪え

この緩やかな生活が終われば
俺が幽霊の声を聴くことは
もはやないだろう

多孔性の死
指先の虫
理性的な音色の足跡
その残骸