詩『何からでも』

何から見ているのか?
「何からでも」

郵送された 微小の穴に封じられた 平野に降り立つ
スキップは草の香り うなずきが空気を柔らかく にぎる
軽い風 軽い歩み 禁じられた古いロボットの気分

全員の肘から聴こえる単調な音楽が呪いのように空気を腐らせている 
事件が起きる
無音だろうが構うか 事件が起きている

歓声が覚ます 虎の三度目の眠り 
虎に穴が開くほどの 
虎に穴が開く 実際に起こることを見よう
暴力は見られている どこへでも通じる穴の向こうから
見られている

抽象画の魚 楕円形の緑 どこででも生きるもの 届く
時間の先から 空間と共に 冷たく荷造りされて
粒々として 風は風でなく 移動のついでに楽しむもの
眠りの先から 痛みと共に 冷たく拡げられて

何から見ているのか?
「何から見ているのか?」

聴こえないけど 起きてる
見えないけど 死ぬ 偉大な人よ 事件が起きている

カタストロフィ 穴だらけの暗闇へGO GO 暗黒黄金大地GO
皺々 さざなみ 人間の足が神聖に 平野に降り立つ
スキップは草の香り うなずきが空気を柔らかく にぎる

傷だらけ 傷だらけ 黄金 三度目に崩れ
穴だらけ 穴だらけ 黄金 三度目の眠り

それを誰が見ているのか?
誰でもいい 事件が起きる
誰かの事件が起きている

何から見ているのか?
「何からでも」