先週漫画を描いて印刷所に発注して、今日コミティアで売って帰ってきた。全部、自分がやったことじゃないみたいだ。記憶はあるんだけど、自分がやったのだという手応えが全然無い。毎回そんなんだからあまり気にしてないけど、これって異常だよな。

 

コミティアで漫画を売りながら、次回作について考えていた。前回は『アイスウォッチャ』という、完全なサイレント意味不明漫画、今回はセリフはあるけどやっぱり意味不明な漫画を作った。次回はいよいよ普通の漫画を書こうと思う。意味不明漫画もそれはそれで自分で見たくて面白いと思って作ってはいるのだけれど、過去作である『イュの王国』リメイクをやって以降、地に足付いた設定やキャラクターでお話を作れていないのがずっと気になっていたのだ。「普通の漫画」とは、異常な星で異常なキャラクターが異常行動をして、異常詩が急に表れて、異常理屈で異常ENDを迎えない、そんな漫画だ。それって面白いのか?黙れ。ちゃんと世界観の設定があって、キャラクターにはきちんと人格が備わっていて、その世界にきちんと歴史があること。それが普通の漫画にとっては大事なんだ。

 

僕が漫画を描く時に決めていることは「まず出来事より始めよ」ということだ。まず始めに出来事があって、作者である僕はそのなりゆきを追いかけるという形で制作が進む。プロットとかキャラとかシナリオとかをぐちゃぐちゃ考えているよりよっぽどスマートに始められるのだ。行き当たりばったりともいう。書き始めて少したったらある程度のシナリオくらいは作る。起きた出来事に対して、誠実に向き合えば、自ずと物語は立ち上がってくる、と信じている。そういうことだから、普通の漫画を書くためには、普通の漫画のはじまりとなる普通な出来事から始める、ということになる。

 

次回作は感情・感動をテーマにしようと考えている。純粋で虚しく巨大なもの「無情の霊」という概念について、描くつもりだ。本当かなあ。『感情の源泉となる百万いくつの音楽と、そこから生まれる無情の霊たちとの戦い、あるいは惑星規模の愛と悲しみに答える方法について』という感じの内容になる、予定。

 

漫画、作るか作らないかだな。