詩『音楽回路』

ぽろぽろと細胞がひとつひとつ丁寧に
宝石として体から零れ落ちる音
もしくは泥棒の足運びの記録
過去を覗く鳥目の奥の
空間色掴む人


うまのたてがみにまたがり
透明な階段を滑り落ちていくたび
削れていく意識の粉を集めて
潔癖な底無しに溜めよう


風が重くのしかかって苦しい時
必ず電車が通るものだから
そのまま次に来る呼吸を予想しつつ
続けて
沸騰する精神の光沢を
シミュレートして

私が嬉しさのあまり
線路に足を置いてくるのを忘れたら
木々の隙間から次の心が
子供の形で
翳の大群を成す

それは暴力的な分裂でしょうね
美しく終わるもの
鋭い連続
傷跡